債権者が、自分の債権を保全するために必要な場合に、債務者が行使を怠っている財産上

の権利を、自分の名で代わって行使する権利。


 例えば債務者の一般財産が債務者の全債務より不足しているのに、債務者が自分の

有する代金を取り立てなかったり、時効中断をしなかったりするとき、債権者が

代わって取り立てたり時効中断をしたりする場合の権利のことです。

これは裁判上でも裁判外でも行使できます。


 債権者が代わって行使することのできる権利は債務者の一身専属権以外の権利です。

だから、慰謝料請求権や夫婦間の契約取消権などのように、その行使を

権利者の意思に任すべき権利は、代位権の目的となりません。

ところで元来、こういう権利の行使を債務者に認めたのは、そのことが債権者全体の利益

になるという趣旨から、債務者の一般財産が全債務額に不足な場合に限るということが

原則でした。しかし、判例はこの趣旨を拡大して、例外的に、①甲より乙、

乙より丙へと不動産が転移した場合に、丙が乙に代わって、乙の資力に

関係なく乙の甲に対する移転登記請求権を行使することを認め、

②丙が賃借する土地を不法に占有する甲に対し、

乙の資力に関係なく、丙が乙の有する

妨害排除請求権(明渡請求権)を

行使することを認めました。


 債権者代位権が行使されることにより得られた財産や権利は債務者に帰属し、総債権者

がその利益を受けます。債権者代位権を行使した者が優先的に弁済を受けられるのは

それに費やした費用のみです。

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