犯罪が法律上成り立つための要件で、通説は、構成要件該当性・違法性、

 及び有責性(責任)がそれにあたります。


  犯罪の成立要件の第一は構成要件該当性です。

 何が犯罪であるのかは法律上の行為として規定されています。

 この法律上の特定された行為の類型を構成要件といいます。

 それで、犯罪であるためにはまず構成要件に

 該当しなければなりません。

 事実が構成要件に当てはまるという性質を

 構成要件該当性といいます。

 ここに完全に該当はしなかったけれども、

 その可能性を持っていた場合も

 含まれます。

 これが未遂です。


  第二の犯罪の成立要件は違法性です。

 構成要件に該当した行為も、例えば正当防衛のような

 特定の場合には法律上許されています。

 犯罪であるためには法律上許されないものでなければなりません。

 法律上許されないという性質は、違法性と称されます。

 すなわち、犯罪は違法な行為でなければなりません。


  第三の犯罪の成立要件は有責性(責任)です。

 構成要件に該当した違法な行為であっても、その行為について

 行為者に対し非難ができるものでなければ

 犯罪とはなりません。

 行為について行為者に対して非難ができるという性質は

 責任あるいは有責性と称されます。

 すなわち、犯罪は有責性(責任)のある行為で

 なければなりません。


  犯罪は構成要件該当性、違法性、そして有責性のどれか一つを

 欠いても成立しません。

 そのうち、特に違法性を欠くことになる事由を違法性阻却事由といい、

 責任を欠くことになる事由は責任阻却事由といいます。


  犯罪の成立要件と区別されなければならないものには、

 可罰性の要件訴追要件とがあります。

 前者には、破産犯罪における破産宣告の確定とか、親族相盗例の

 おける直系血族・配偶者・同居の親族のような人的処罰阻却

 事由の存在しないこととかがあり、後者には、親告罪の

 告訴、刑法92条の外国政府の請求などがあります。

 なお、学説の中には、可罰性の要件を犯罪成立要件の中に

 解消して、可罰性の要件という観念を

 否定するものも存します。