「風が吹くと桶屋がもうかる」という話があるが、因果関係は無限の連鎖を持っており、

ある事件を原因として、次々にさまざまな結果が生じていくものです。


 しかし、ある行為を原因として生じた損害を賠償させる場合に行為者に無限の損害額の

賠償責任を認めることは酷でもあるし、また不可能です。例えばある商人が食品を

加工してもらう約束で、材料を仕入れたところ、約束どおり加工してくれない

ために、材料の保管費がかさみ、そのうち材料にたまたま腐敗菌がついて

いたために変質してしまい、更に・・・・というような場合に、

加工業者はどこまでの損害を賠償すべきなのだろうか。



 損害賠償の範囲を限るために行為と損害との間にどのような因果関係がなければ

ならないかという問題について、民法は因果関係をめぐるいくつかの考え方のうち、

相当因果関係説といわれる考え方をとっています。

それによれば、賠償額の範囲は、ある行為から通常生ずるであろう損害(上の例では

保管費用など)に限られ、その事例に特別の事情によって生じた損害

(たまたま腐敗菌がついていたために、材料が変質してしまったこと)

は、当事者に予見が可能であった場合(変質が加工業者に予想し得たとき)

のみ賠償させ得るのです。

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