契約は一時の給付を内容とするものと、一定期間継続する給付を内容とするものに分類

することができる。前者を一時的契約といい、後者を継続的契約といいます。

民法は、一時的契約を中心に理論構成されていて、継続的契約については特に意識して

一般理論の構成がなされているわけではありません。

しかし、近代的社会・契約関係がすべて一時的契約に依存するわけではなく、継続的な

取引や労務提供、金銭の貸借、借地借家関係もまた重要な地位を占め、

継続的性質の契約の果たす分野はかなり多いです。


 ①民法上の賃貸借、雇用、委任、寄託、使用貸借、消費貸借、終身定期金契約などが

継続的契約であり、この種の契約によって生ずる債権は、

定期的または反復的になされる家賃、賃料などの

支分債権・個別債権と、これを派生させる

基本債権・総合債権とを観念的に分離することができます。

支分債権は一時的履行によって完全に消滅するのに対し、基本債権は契約存続の全期間を

通して常に履行され続けると観念するのであり、

部分的に消滅することがありません。

継続的契約は、一時的契約に比較すると、 

(イ)継続的契約には、契約の当初から契約のなかったことにする、

いわゆる解約は認められず、同じく解除という用語が

用いられても、それは、将来的失効を生ずる告知

(解約・解約申入れ)であるにすぎません。

 (ロ)継続的契約は相当長期にわたるので、往々にして長い契約期間中に契約事情の

変動が起こりやすく、契約当初の約旨の実行が不当だという場合がしばしば

起こります。ここに、事情変更の原則を考慮する必要があり、

家賃・地代の増減額請求や賃金の値上げ要求(労働争議)

などが認められるのがこの例です。

 (ハ)継続的契約は、その継続期間の長期短期が論ぜられ、期間の定めのないときは

告知の自由とその制限が問題となります。

 (ニ)継続的契約は、人および物に対して支配関係を設定することになりやすい。

この特質に対する規制として、労働法や借地借家法というような社会的特別法が

要請され、雇用の労働協約化賃借権の物権化はこの現れです。


 ②電気やガスの供給や、新聞や牛乳を配達する契約のような継続的供給契約は、

いわゆる継続的契約とは異なります。

継続的供給契約は、その本質において一時的契約の連続的なもので、前例のそれはいずれ

も売買であるが、ただそれが一定期間回帰的に給付が行われる点に

特色があるものです。

しかし、継続的供給契約も、その継続性について継続的契約の性質を認めることが

できるので、その限りにおいて、告知権の成立など、継続的契約と似た効果

が認められる場合があります(割販法など)。

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