現に存在する限度の利益のことで、受けた財産または利益が

そのままの形で残っていればその財産または利益、

形を変て残っていればその形を変えた

財産または利益をさします。

例えば、代金2000万円での建物の売買契約が無効となった場合、

2000万円を受領した善意(無効であることを知らない)の売主は

現存利益の限度で返還義務を負うが、

2000万円を貯金して利息が付いていた場合には2000万円とその利息、

もし2000万円で宝石とか土地などを買っていた場合は

その宝石とか土地などが現存利益になります。
 
 遊興等に浪費してしまっている場合は、その限りで現存利益は存在しません。

もし株式投資や事業資金として用い4000万円に増殖していても、

2000万円のみが現存利益になります。

ただし、前述の貯金による利息は自然の経過による増加であるのに対し、

株式投資などはその人の特殊な手腕による増加だからです。
 
 消費しても、それによって自分の財産からの出費を節約したとみられる場合、

その他必要経費とみられる支出に充てた場合、
例えば、食費とか学費とか婚姻の費用、

持参金などの支出に充てた場合は、

現存利益が存在すると認められています。
 
 返還義務の範囲が現存利益に制限されている場合は、

善意受益者の不当利得返還義務のほか、

失跡宣告の取り消しの場合の返還義務、

取り消しの場合における制限行為能力者の返還義務等です。
 
これに対し、返還義務の範囲を現存利益に制限しない場合には

単に「受けた利益」といい、悪意受益者の返還義務の