債務がないのであるから、弁済したものを不当利得として
返還請求できるはずであるが、
例外として返還請求ができない三つの場合があります。
①弁済者が給付の当時に債務の存在しないことを知っていたとき
債務の存在しないことを知りながら給付した者を保護しない趣旨です。
したがって、給付は任意になされたことを要し,強制執行を避けるとか、
強迫によってやむを得ず給付した場合などには、
返還請求は認められます。
②期限前の弁済
債務者が期限到来前に弁済しても債務は現存するから
返還請求認はめられません。
しかし、債務者が錯誤により期限が到来しているものと信じて給付したときは、
これによって債権者が得た利益(中間利息)の
返還請求が認められます。
③他人の債務の弁済
債務者でない者が錯誤により自分の債務と信じて他人の債務を弁済した場合には、
その債務者のために弁済したわけではないから、
不当利得返還請求が認められます。
しかしこの場合に、債権者が自分の債権についての
有効な弁済があったものと信じて(すなわち善意で)債権証書を毀減し、
担保を放棄し、またはその債権を時効消滅
させてしまったときは、
返還請求は認められません。
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