身分犯とは、一定の身分を持つことではじめて犯罪の主体(行為者)となることを
法律が規定している場合をいいます。
例えば、収賄罪は「公務員又は仲裁人」を、また特別公務員の職権濫用罪は
「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの警察を補助する者」
をそれぞれ成立要件としています。
判例は、身分を「男女の性別、内外国人の別、親族の関係、公務員たる
資格のような関係のみに限らず、総じて一定の犯罪行為に関する犯人の
人的関係である特殊の地位又は状態を指称する」としています。
公務員について、刑法は特に規定を設けています。
実際に、7条1項に「この法律において『公務員』とは、国又は地方公共
団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の
職員をいう」という条文があります。
身分犯には真正身分犯と不真正身分犯とがあります。
前者は、一定の身分がなければ何らかの犯罪を構成しないものであり、
秘密漏示罪、偽証罪、背任罪などです。
後者は、一定の身分がなければ、法定刑がそれよりも重いか
若しくは軽い犯罪を構成するものであり、常習賭博罪、
業務上横領罪などです。
身分のない者が一定の身分を必要とする公務員でない者が
公務員とともに収賄したときは共犯として処罰されます。
なお、身分により特に刑の軽重がある場合は、
身分のない者には通常の刑が科せられます。
コメント (0)
コメントを書く