小売店などから買った商品に瑕疵(欠陥)があることによって生命・身体・財産に

損害を被った場合に、製造者に対してする責任のことです。

民法上は特に製造物責任についての規定はなく、一般の不法行為責任に

よることになります。
 
その場合、被害者が証明すべき事実としては、

①商品に瑕疵があったこと、

②製造者に過失があること、

③瑕疵と損害発生の間に因果関係のあることです。

 ①商品の瑕疵―その商品にもともと瑕疵があったということを証明しなければ

なりません。素材についての欠陥、不純物の混入、機械が十分作動しないなど

(製造上・機能上の欠陥)、使用法につき適切な指示をしていない(説明上の欠陥)、

薬害など使用後になって、はじめて製造者にもわかる欠陥(使用後に判明する欠陥)

など種々のものがあります。

これらは、製造者の過失と関係し、証明上困難な問題を生じます。

②製造者の過失―商品に欠陥があることにつき、製造者に過失のあることが

証明されなければなりません。しかし、企業内部の事情に基づくことであるので、

過失の証明を厳格に要求するときは極めて困難となります。

このため、商品に瑕疵の存在したことを証明したときは、

製造者に過失あることを事実上推定して構いません。

使用後はじめて判明する瑕瑕の場合においても、薬品等危険を生ずる可能性のある

商品については、製造者により慎重に検討する高度の注意義務を認めていいです

(「過失」の項参照)。
 
 ③瑕瑕と損害発生の間の因果関係。化学物質、薬品あるいは、

一定機械器具を永年使用したことと身体障害との間の因果関係の問題は、

高度の専門的知識を必要とし、また現在の科学の水準をもってしては

証明できないこともしばしばです。

これについても、裁判官の確信を必要としたのでは、

証明は不可能または至難となります。

そこで、一応因果関係があるとの蓋然性の証明がなされたときは、

製造者の側で因果関係がないという反対の証明を

しなければならないものと解されています。
 
 このように、企業内部の専門的な事柄に属する事由については、被害者の証明の

困難さは緩和されてきています(「製造物責任法」の解説参照)。