結果犯において、行為者にその結果について既遂の責任を負わせるためには、

 その行為と結果との間に因果関係がなければなりません。

 その際に、条件説、相当因果関係説のいずれの説を採るにしても、

 まず、その行為と結果との間に「その行為がなかったならば、

 その結果は発生しなかったであろうという関係があれば、

 その行為と結果との間には条件関係がある」と

 判断するものを条件関係の公式といい、

 我が国の多数説となっています。


  この公式を択一的な競合(例えばAとBが独立にそれぞれCに致死量の

 毒薬を与えてCを殺害した場合)にそのまま当てはめてみると、

 Aの行為とCの死という結果との間には、Aの行為がなくても

 Cの死という結果が(Bによって)発生したはずなので

 条件関係がなく、Bについても同様であるから

 ABともに殺人の未遂が認められるに

 すぎないことになります。

 この結論は、いかにも不合理のように思えますが、

 「疑わしきは被告人の利益に」の原則からくる

 結論です。