「共犯」が成立するためには、主観的な要件として「故意の共通」、

 すなわち意思が参加者に共通していなければなりません。



 ところが、我が国の刑法207条はこのような意思の共通ないし連絡が

 なくても、共犯と同じように取り扱う場合を規定しています。


  それは「二人以上で暴行を加え、人を傷害した場合において、果たして

 そのうち誰が、実際に傷害を加えたのであろうか、もし二人ともである

 としても、その加えた傷害の程度を知ることができないときは、

 これら加害者の間に意思の共同がなくても共犯の例によって

 処置し、そのいずれの者も結果の発生に対し、

 刑事責任を負う」というのです。

 この場合を同時犯の特例と称します。


  これは一種の擬制的な規定ではありますが、このような規定を設けなければ

 ならない理由は、どこまでも真実のほどを証拠によって立証しなければ

 ならないとすれば、このような場合は、はっきりした証拠はなく、
 
 加害の演じたところが判明せず、そのために無罪と
 
 しなければならなくなるからなのです。