共同正犯の成立には、刑法60条の条文からも明白なように、ある犯罪を

 共謀した者が、「実行行為」 に出たことを必要とし、少なくとも、

 実行行為の一部分を分担していなければなりません。


  例えば3人が他人の家宅内に侵入して窃盗を働くことを談合の上、そのうち

 一人は屋外で見張りをし、他の一人は入り口の窓を外し、もう一人は屋内に

 侵入し財物を窃取せっしゅしたような場合、この3人は共に住居侵入、窃盗の

 正犯として処罰されます(もっとも、見張りは時には

 従犯となることもあります)。


  ところが、我が国の旧大審院以来、現在の最高裁判所の判例では、共謀の事実が

 あって、その実行を他者に一任したとみられ得る限り、現実に実行行為の

 分担はないにしても、なお共同正犯は成立するものとしています。

 これは単に強盗のような暴力犯に限らずに、所持罪のごときも

 同じであり、また詐欺罪のような知能犯などは

 ごく当然であるとしています。