事業体の倒産については、かつては、製造業、卸売業、小売業、建設業の

 四業種に倒産減少が集中し、金融・保険、運輸・通信、サービス業などの

 倒産は極めてまれでした。

 しかし、近時では、為替や金利の動向や労働力(人手)不足などの

 社会状況によって、倒産現象は、広く一般的に

 伺えるようになっています。


  企業規模からみた場合、個人企業や資本金1,000万円未満の企業では、放漫な

 経営による競争からの落伍らくごを原因とするものが多く、体質の弱い企業が

 整理されているともいえます。

 資本金1,000万円以上の中規模の企業では、設備投資過大、赤字累積に

 よるものが多くなっています。

 資本金1億円以上の大企業では、売掛金回収困難や他社倒産の余波を

 原因とするものがほかと比べて多くなっています。


  業種別にみた場合、他社倒産の余波を原因とする倒産は、卸売業

 製造業に多くみられます。

 卸売業は事業の形態から取引先の余波を受けやすく、製造業については、

 下請け形態など分業体制の発達によるものと考えられています。

 また、製造業については、会社更生などの債権を目指した処理形態を

 とる企業が多いことが特徴として挙げられます。

 これに対して、建設業、卸売業では債権を目指した処理は少ないです。

 これは、製造業では工場設備などの資産があるので、これを基にした

 再建がより容易であるのに対し、資産の裏付けの乏しい建設業、

 卸売業などでは、一旦倒産して対外信用を失うと、

 再建が困難であることを示すものとなっています。


  卸売業では、競争からの落伍、売掛金回収難を原因として、小売業では、

 競争からの落伍、設備投資過大、事業上の失敗(経営能力の欠如)を

 原因として、建設業では、運転資金の欠乏、赤字累積を

 原因としてそれぞれ倒産する比率が高いです。

 建設業については、工期が長く、決算期間も長いため多額の運転資金を

 必要とするという業界特性があり、不況が長引けば、
 
 倒産を増長させます。

 いずれにしても、企業倒産は、企業を取り巻く社会環境を 
 
 映し出しており、倒産原因は、その時々の社会の
 
 特徴を如実に表しています。