精神上の損害すなわち精神的苦痛を金銭的に評価してなす損害賠償。

慰謝料は、他人の生命、身体、自由、名誉、貞操が侵害された場合、

有責離婚、婚約予約の不当破棄の場合のほか、財産権が

侵害された場合にも認められます。

不法行為による損害賠償は、財産上の損害賠償と慰謝料とが含まれます

(「不法行為」の項参照)。

しかし、財産権侵害の場合に慰謝料が認められることはまれで、

親の形見やペット等が侵害された場合に限られています。

 生命または身体に対する侵害の場合に、慰謝料請求権は、

被害者の父母、配偶者、子に認められます。

内縁の妻、胎児、認知されていない子にも同様に認められます。

祖父母、孫、兄弟姉妹については、特に精神的苦痛を被ったことを

証明した場合に認められると解されています。

精神的苦痛のないはずの法人にも名誉毀損の場合には認められ、

幼児にも認められています。

これは、精神的苦痛といっても、一般化され定型化されて金銭的に

評価されるためです。

 被害者死亡の場合には、被害者自身の慰謝料請求権が、

被害者が請求する意思を表示したかどうかを問わずに、

相続人に相続されます。

したがって、相続人は、被相続人の慰謝料請求権と自分自身が

被った精神的苦痛に基づく慰謝料請求権とを併せて

行使できます。

 慰謝料の額の算定は、裁判官の自由裁量によって決定されます。

このことは、硬直化しがちな財産的損害額の算定を全体の

妥当な損害賠償額として調整する機能を慰謝料が

果たすことになっています。

 カテゴリ

 タグ