犯罪の個数を指します。
 
 一人の人が一個の犯罪を犯したときが一罪でありますから、

 数個の犯罪を犯したときは数罪になります。

 一罪の場合と数罪の場合とでは刑法上の取扱いが異なりますので、

 何を基準として犯罪の数を決定するのかということが

 重要な意味を持っています。

 この標準については諸説があり、行為が一個であるかどうかに

 よる行為説、各行為から生じた結果の数による結果説

 犯人の意思が単一であるかどうかによる意思説などが

 ありますが、現在の通説といってよいのが、

 構成要件標準説であって、刑罰規定の構成要件に

 当てはめる行為が何回行なわれたかによって

 罪数を決定しようとするものです。

 罪数は、必ずしも自然的な観察の下での

 行為の数とは一致しません。


  例えば、倉庫の中の物を一晩のうちに何回かに分けて

 盗み出すことは、自然的な行為としては数個の行為で

 あっても、一個の窃盗罪と評価され、

 逆に、一発の弾丸で人を殺害し、物を損壊したときは、

 行為は一個であっても、殺人罪と器物損壊罪の

 二罪なのです。


  数罪が行なわれた場合でも、その態様によっては、

 刑法上の取扱いが相違し、刑法は、併合罪、

 観念的競合、牽連犯について

 規定を置いています。