土地の工作物の設置または保存に瑕疵(欠陥)があったため他人に

損害を生じたときは、第一次的に工作物の占有者すなわち

事実上工作物を支配している人(例えば、賃借人、借主、

預り主等)が被害者に損害賠償しなければなりません。

もし占有者が損害発生防止のため必要な注意をしていたときは、

第二次的に工作物の所有者が賠償責任を負います。

竹木の栽植や管理に瑕疵があるため生じた損害についても、同様です。

設置または保存について瑕疵のあることを要件としているが、

所有者については民法が無過失責任を定めたものです。

 「土地の工作物」とは、土地に人工を加えて作った道路のような物と、

地上および地下に人工的に設備された各種の物を含みます。

 例えば、建物、ガスタンク、テレビ塔、道路、橋、トンネル、塀、溜池、

井戸、崖の擁壁、電柱、電線、遊動円木のほか、建物内部の

施設であるエレベーター、エスカレーター、鎧戸、天井、

床など広く含みます。

さらに、炭坑口に設置された捲上機のワイヤーロープが切断したことによる

事故において、機械が土地工作物と認められ、また、保安設備のない

踏切事故において、軌道設備全体が土地工作物と判断され、

今日、「工作物」の概念が拡張されてきています。

無過失損害賠償責任の拡大を示すものです。

 これらの土地工作物の設置または保存に瑕疵があることによって

事故を生じたときは、賠償責任が生ずるが、それがまったく予想外の

強風、豪雨、地震といった不可効力によって生じ、工作物に

瑕疵がなくとも事故が発生したとみられる場合には、

賠償責任を生じません。

例えば、改装工事中のビルから資材が落下し、落下防止網を施して

いなかったために通行人に当たり、負傷させた場合、第一次的には

工事請負人が、そして請負人が必要な注意をしていたと

認められるときは、第二次的にビル所有者が責任を

負わねばなりません。

しかし、突如発生した竜巻によって資材が飛ばされたり、暴風のため

看板がたとえ瑕疵がなくても飛んだという場合には、

責任はありません。

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