文書の作成権限のある者が、内容の点で偽りの文書を

 作成することをいいます。


 我が国の刑法は、有形偽造と区別して、この場合を 「虚偽の文書」

 「虚偽 (または不実) の記載」 と称しています。


  無形偽造は公文書のほかは原則として処罰されません (例外あり)。

  
  これは、刑法が私文書に対する社会の信用はその内容が真実であることよりも、

 作成名義の真正であることに依存していると考えたからなのです。


  無形偽造については、公正証書など157条に列挙されたもの以外の公文書について、

 情を知らない公務員を利用して内容が偽りのものを作成させた者は、156条の

 虚偽公文書作成罪の間接正犯になるのか、ということが議論されています。

 判例は、
 

 ①例えば、助役が村長を利用する場合には間接正犯になるが、

 ②公務員でない者が公務員を利用する場合には間接正犯とはならない


 としています。


  なお、私文書の無形偽造については、少数説として、
 

 ①一般に159条3項で処罰の対象となっているという説

 ②代理人名義の冒用ぼうようの場合は無形偽造だが、この場合にのみ、

  159条3項で罰せられるという説


 とがあります。