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5. 刑法総論のカテゴリ記事一覧

カテゴリ:5. 刑法総論

5. 刑法総論のカテゴリ記事一覧。さまざまな法律用語について分かりやすく解説していきます

5. 刑法総論
  違法とは、行為者の有責性のある行為を前提とするということです。 客観的違法性という考え方に対立するもので、何が違法なのかと いうことを行為者の責任能力の有無..

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  行為が客観的な評価規範に違反することをいいます。 犯罪は違法な行為であるが、その違法ということをどんな立場から 判断するかについては学説の争いがあります。 ..

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5. 刑法総論
  行為が法律によって許されない、という性質を指します。 犯罪はいうまでもなく違法な行為です。 詳しくいえば、犯罪は刑法各則の基底に当てはまる有責・違法な行為で..

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5. 刑法総論
  危険増加の法理とは、過失犯において、行為と結果との関係を因果関係の 条件関係の公式によってではなく、行為者が注意義務に違反することが 結果を引き起こす危険を..

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  規範の保護の範囲の理論、あるいは規範の保護目的の関係とも称されている もので、行為者の過失責任を制限するため、ドイツで登場した理論です。  これは、過失犯に..

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    相当因果関係説は、ある行為からそのような結果が生じるのが経験上通常である 場合に、因果関係があるとする因果関係についての考え方の一つです。  この説は条..

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  その行為がなかったならば、そのような結果は生じ得なかったであろうという 関係さえあれば因果関係があるとする説をいいます。 この説は結果に対するすべての条件を..

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  一般に因果関係を認定するためには、前提として、「もしその行為がなかったならば この結果は発生しなかっただろう」という条件関係が肯定される必要がありますが、 ..

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  仮説的因果関係とは、その行為がなかったとしても、同じ時点に他の原因で その結果が発生したであろうということが分かった場合に、その行為と その結果との間に条件..

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5. 刑法総論
  それだけで結果を引き起こすことのできる条件が二つ以上独立して 作用した場合を指します。 「二重の条件関係」とか「累積的な条件関係」とも称されます。 例えば、..

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主観的違法性


  違法とは、行為者の有責性のある行為を前提とするということです。

 客観的違法性という考え方に対立するもので、何が違法なのかと

 いうことを行為者の責任能力の有無を中心に決定しようと

 するものです。

 言い換えれば、行為は、それが客観的に違法であるだけでは足りず、

 行為者がその行為を違法なものと知り得る能力のある場合で

 なければ、違法とはいえないことになります。

 この立場からすると精神異常者は自分の行為につき違法という

 評価ができませんので、その行為は、常に違法ではなく、

 犯罪とはならないことになります(そこで、この者の侵害に

 対しては、正当防衛も成り立たないことになります)。

 元々、行為者がどう思うかということは、責任の問題と

 されますので、この考え方は違法の問題と責任の

 それとを混同してしまうもの、とされています。


客観的違法性


  行為が客観的な評価規範に違反することをいいます。

 犯罪は違法な行為であるが、その違法ということをどんな立場から

 判断するかについては学説の争いがあります。

 通説は、これを第三者(言い換えれば、一般人)の立場から、

 客観的に決めるべきであるとします。

 したがって、行為は、こうした立場から、客観的に違法性のある場合に、

 犯罪とされることになります。

 精神異常者の行為が犯罪とされるのも、行為者の一身的な責任能力に

 関係なく、客観的に違法であるからなのです。


  但し、客観的に判断するということは、判断の対象に例外的に

 主観的要素(行為者の動機、目的,etc)を取り入れることと

 矛盾するものではありません。

 そうした要素をも含めて、客観的に違法性を

 決定することをいうのです。


違法性


  行為が法律によって許されない、という性質を指します。

 犯罪はいうまでもなく違法な行為です。

 詳しくいえば、犯罪は刑法各則の基底に当てはまる有責・違法な行為です。

 したがって、行為が「違法」であるということは、犯罪が成立するためには

 重要な事項ではありますが、それにもかかわらず、刑法は何が違法か

 ということについては定義を与えておりません。


  普通は、刑法各則の処罰規定に当たる行為を原則として違法と判断するので

 ありますが、何が違法かという問題の実質的回答は学説に委ねられていて、

 刑法では、裏側から、実質的に違法にならない行為をその35条から

 37条で規定しているにすぎません。


  実質的に違法とは、単に条文に触れるだけではなく内容的にも法に違うこと、

 つまり、法秩序に違反するということです。

 これを条理違反、義務違反、公序良俗に反すること、あるいは規範に

 違反することというのも、みな同じ意味をいい表すと

 理解してもよろしいです。


  要するに、社会的に耐え難いこと(社会的不相当性)をいうのであって、

 たとえ、自分で火をけたのではなくても、他人の点けた火を火事に

 なると知りながら消さなかった場合に、そういう行為が放火罪

 (つまり、違法)とされるのは、公序良俗に反するからで

 あって、いわば、社会生活上不相当な行為と

 されるからなのです。


危険増加の法理


  危険増加の法理とは、過失犯において、行為と結果との関係を因果関係の

 条件関係の公式によってではなく、行為者が注意義務に違反することが

 結果を引き起こす危険を高めたか否かによって、結果を行為者に

 帰属させようという考え方です。
 
 本説は、ドイツにおいてロクシン(Roxin)によって主張され、

 かなりの支持者を獲得しつつあり、我が国でも論議される

 ようになってきました。


  例えば、過失によって結果を惹起じゃっきした場合、行為者が注意義務に違反せずに

 慎重に行為したとしても多分に同じ結果が生じたであろうということが

 判断されれば、行為者にその結果を帰属させることが

 できるのかが問題となります。

 この場合、行為者が注意義務に違反したことが結果を引き起こす

 危険を高めたというだけで行為と結果との関係は充分であるとし、

 行為者に結果を帰属させることができるとしています。


規範の保護目的の法理


  規範の保護の範囲の理論、あるいは規範の保護目的の関係とも称されている

 もので、行為者の過失責任を制限するため、ドイツで登場した理論です。


  これは、過失犯において行為と結果との間に一般人の経験上、社会的に

 相当な因果関係が存在し、更に注意義務に違反した行為があったとしても、

 その行為者が、たとえ注意義務に違反せずに慎重に行為をした場合でも、

 当該結果が引き起こされたであろうと思われる場合には、その結果は

 行為者に帰属されないとする、客観的帰属の理論に伴って

 発展したものです。


  例えば、心臓に疾患を持つ患者が、自己の病状を歯科医に告げて

 抜歯を依頼したとします。

 しかし、歯科医は内科医の診察を受けさせずに全身麻酔をかけて

 抜歯したため、患者の心臓が麻酔の負担に耐えられずに

 死亡してしまいました。

 ところが、たとえ事前に内科医が患者を診察したとしても、おそらく

 心臓の疾患は発見できず、麻酔による死の結果を、内科医の

 診察のために要する数日間、伸ばすに過ぎなかったで

 あろうという事例などがこれに当たります。


  このように、過失犯において行為者が注意義務に違反して結果を発生させたと

 しても、その注意義務を規定した規範が、侵害された法益の保護をも目的と

 していたのか銅かを検討し、規範の保護目的の関係が否定され、その範囲

 の外にあると認められれば、行為者にその結果を帰属させないとする、

 過失責任の広がりを制限するための法理です。


  ここに挙げた事例に於いては、歯科医は麻酔をかける前に内科医に

 患者を診察してもらう注意義務があります。

 また、それをしなかったために死亡したという因果関係も、

 相当性もあります。

 しかし、歯科医の注意義務は、危険を伴う抜歯を成功させる目的の

 ためであり、患者の生命を数日間延ばす目的ではないので、

 規範の保護目的の外にあり、死の結果に対する

 責任はないとするものです。


相当因果関係説

  
  相当因果関係説は、ある行為からそのような結果が生じるのが経験上通常である

 場合に、因果関係があるとする因果関係についての考え方の一つです。


  この説は条件説を排斥したり否定したりするものではなく、条件説で因果関係が

 あるとされたものの中から刑法上重要なものの範囲を限定していこうとする

 もので、現在の通説となっています。

 この説は、どの範囲の事情を基礎にして相当因果関係を考えるのかによって、

 更に以下の三つに分類されます。


 ①主観説→行為当時に行為者が認識したか認識することができた事情を
     
        基礎とすべきだとします。
     
        ドイツのクリースが提唱した説です。

 ②客観説→リューメインが提唱した説で、裁判の際、裁判官の立場に立って、
     
        行為当時に存在したすべての事情と予見可能の事後の事情を
     
        基礎とすべきだというものです。

 ③折衷説→トレーガーの提唱した説で、行為の時に、通常人が知りまたは
     
        予見することができたであろう一般的事情と、行為者が現に
     
        知りまたは予見していた特別の事情を基礎と

        すべきだとするものです。


  主観説に対しては、行為者の知らなかった事情をすべて除外する点で

 狭すぎるという批判がなされ、客観説に対しては行為当時の事情と

 行為後に発生した事情を区別するのは理論的根拠を欠くとか、
 
 行為当時の事情に関する限り、一般人も知ることができず

 行為者も知らなかった特殊の事情をも基礎とするのは、

 経験上通常という相当因果関係説の根本趣旨と

 矛盾するとかという批判がなされています。

 折衷説が現在の通説です。


  判例は、相当因果関係説を採るようにみえるものも若干伺えますが、

 基本的には条件説の立場に立っています。


条件説


  その行為がなかったならば、そのような結果は生じ得なかったであろうという

 関係さえあれば因果関係があるとする説をいいます。

 この説は結果に対するすべての条件を平等に見ますので、

 等価説あるいは平等条件説とも称されます。


  この説によれば、例えば、傷は軽いものであったが、被害者が出血症患者であった

 ために亡くなったとか、被害者が手当てを怠ったために、傷口からバイ菌が入って

 亡くなったとか、AさんがBさんに致死量の半分の毒を飲ませたが、

 第三者がたまたま更に半分の毒を飲ませたので被害者が

 亡くなったといった場合などにも、すべて犯人の行為と

 死の結果との間に因果関係があることになります。


  この説は、因果関係論をはじめて独立の問題として取り上げたブーリー以来、

 最近に至るまで通説とされてきましたし、我が国の判例も基本的には
 
 この説を採用してきました。

 しかし、この説は実際の適用上、因果関係の範囲が

 無制限に広いものとなります。

 そこで、この不都合を救済するために「因果関係の中断」の

 理論が考え出されましたが、理論上妥当なものではなく、

 今日では過去の学説となってしまいました。


疫学的因果関係


  一般に因果関係を認定するためには、前提として、「もしその行為がなかったならば

 この結果は発生しなかっただろう」という条件関係が肯定される必要がありますが、

 公害などの新しい事象については、原因・結果の間の詳細の因果経路が現代の

 医学水準ではまだ充分に解明され得ない場合が生じてきます。

 そこで、そのような場合、統計的手法による大量観察の方法を用いて結果発生の

 蓋然がいぜん性を証明することが民事訴訟の分野で認められるようになりました。

 これを疫学的証明といい、これによって証明された因果関係を

 疫学的因果関係といいます。

 なお、「疫学」とは、公衆衛生、疫病予防のために、疾病を集団的・大量的に

 観察することにより、発病に作用する原因の解明を目指す学問です。


  問題となるのは、刑法学上の因果関係の立証にもこの方法を用いることが

 許されるか否かです。

 確かに、如何なる場合にも因果経路の完全な立証を要求することは、現代科学の

 下で検察官に不可能を強いる面も否定できませんし、また、疫学的証明も

 一種の情況証拠による証明方法であり、他の情況証拠の場合と同様に

 因果関係認定のためその利用を認めてもよいように思われます。

 しかし、刑事裁判では、民事裁判におけるのと異なり、

 「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則が支配している

 ので、検察官に拳証責任があるとともに、有罪を

 認定するためには「合法的な疑いを超える程度」

 ないし「確実性に接着する蓋然性」の証明が

 要求されます。

 したがって、単なる「蓋然性」の証明である疫学的証明を刑事裁判に

 導入するには、特に慎重でなければなりません。

 具体的には、疫学的証明自体の信用性・精度等を厳密に検討し、

 疫学的証明が病理学的証明などや他の情況証拠と相俟あいまって

 「合理的な疑いを超える程度」に到達した場合に限って、

 条件関係を認定することが許されるでしょう。


仮説的因果関係


  仮説的因果関係とは、その行為がなかったとしても、同じ時点に他の原因で

 その結果が発生したであろうということが分かった場合に、その行為と

 その結果との間に条件関係を認めることができるのかを問い、

 この場合の問題を解決しようとするものです。

 択一的競合の問題が実際に行なわれている行為を前提とするのに対し、

 仮説的因果関係は実際には行なわれていない行為を前提とする

 ところに両者の相違がありますが、その理論構成は

 同様だといえます。


  例えば、いくつかの別々の行為が重なりあってある結果を引き起こしたが、

 そのいくつかの行為のどの行為もそれだけで結果を引き起こすことが

 できるものであった場合、すなわち、一方の行為がなかったとしても

 結果は発生したであろうといえる場合に、それぞれどのような

 罪責を問うのかが問題となります。

 この場合の問題解決を、因果関係における条件関係の公式を

 ベースに解決しようとするものです。


択一的競合


  それだけで結果を引き起こすことのできる条件が二つ以上独立して

 作用した場合を指します。

 「二重の条件関係」とか「累積的な条件関係」とも称されます。

 例えば、AがBを殺害しようと思い、Cが飲むつもりでんでおいたコップの

 水の中に致死量の毒物を混入して立ち去った後で、こういう事情を知らない

 Bも、Cを殺害しようと思い、やはり、そのコップの水の中に、致死量の

 毒物を混入し、Cがこの水を飲んで亡くなってしまった、

 というような場合です。


  この場合に、「その行為がなかったならば、その結果は発生しなかったであろう」

 といういわゆる「条件関係の公式」をストレートに当てはめると、

 ①Aの行為とCの死という結果との間には、Aの行為がなくても、(Bの行為で)

  Cの死という結果が発生したはずなので、条件関係はありませんし、また、

 ②同じように、Bの行為とCの死という結果との間にも(Bの行為がなくても、

  Aの行為でCの死という結果が発生したはずなので)、条件関係はなく、

  AにもBにも殺人の既遂という責任を認めることはできず、せいぜい

  殺人の未遂の責任を認めることができるにすぎないことになりますが、

  果たしてそれで良いのか、という疑問が出てきます。


  この問題には、

 ①条件関係の公式の代わりに、「法則的な条件の公式」という公式を持ってきて、

  この公式をベースに置いて、これを考えていく立場や、

 ②条件関係の公式の代わりに「結果の回避の原則」とか「危険を高める原則

  などという概念を持ってきて、それをベースに置いてこれを考えていく

  立場などもありますが、我が国では、普通、条件関係の公式を

  ベースに置いてこの問題を考えています。


  条件関係の公式をベースに置いてこの問題を考えていこうとする立場からは

 (AとBとが独立に致死量の毒物を入れたという例についていうと)、

 ①Aの行為もBの行為もCの死という結果とは条件関係がなく、AもBも

  殺人の未遂である、とする考え、

 ②Aの行為もBの行為もCの死という結果と条件関係にあり、AもBも

  殺人の既遂である、とする考え、

 ③Aの行為だけがCの死という結果とは条件関係がなく、Aは殺人の

  既遂であるがBは殺人の未遂である、とする考え

 ④場合を分けて、

  (イ)Aの毒物とBの毒物が同時にCに作用したということが証明されたときに
   
    だけ、Aの行為もBの行為もCの死という結果と条件関係があり、
   
    AもBも既遂であるが、

  (ロ)AかBかどちらかの毒物が作用したことが証明されたときには、その
   
    作用したことが証明された方の行為が結果と条件関係があり、その
   
    行為をした者は殺人の既遂であるが、もう一つの方の行為は結果と
   
    条件関係がなく、その行為をした者は殺人の未遂であり、

  (ハ)Cの死という結果がどちらの毒物で引き起こされたのか証明されない
   
    ときには、どちらの行為も結果とは条件関係がなく、AもBも
   
    殺人未遂であるとする考えが出されています。


  このうち、第一のどちらの行為も結果とは条件関係がないとする考えは、

 普通、条件関係の公式をストレートにこの問題に当てはめ、第二のどちらの

 行為も条件関係があるとする考えの多くは、条件関係の公式を修正して、

 この公式に「いくつかの条件のうち、その一つを除いて考えてみると

 その結果は発生しなかったであろうという場合には、その条件の

 どれもその結果と条件関係にある」という公式

 (トレーガーの公式)を加えて、

 結論を出しています。


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